エビータ06秋劇場 [観劇の記録]
エビータは自分にとって、長らくCDの演目だった。
どれだけ聞いたことだろう、それこそ数限りなく聞き込んだ。セリフはほとんど曲になっており、空でもたいがい歌える位になっていた。
マドンナ主演の映画は観ていた。だから、ストーリーも分かっていた。
(今回は長文)
自分はもうずっと昔からこの演目を知っているつもりになっていた。昨年の冬、秋劇場で開幕した時も、真新しさのない古い芝居をやるもんだなぁ。くらいの気持ちだった。劇団四季として久しぶりの公演で、リニューアルをしたこと、主役エビータに以前の野村涼子に代えて井上智恵が当てられ、初の大役を如何にこなすか?が見ものと思われていたこと。自分も興味もそんなところだった。あくまでも演目としては旧知。作品自体に新しい要素などあるはずはなかった。
あるはずは
そして、何気なく観にいった昨年冬。驚いた。その作品は旧知の作品ではなかった。
自分は、きわめて基本的なことを見失っていた。ミュージカルは舞台なのだ。舞台を見なければ作品を理解することも、評価することもできない。その真価は「生」の舞台にこそある。CDや映画ではわからない。かなりの数の舞台を観に行ったのに、そして、そのたびに「生はいいな」と思っていたはずなのに。分かっていなかたった。この時のエビータでそのことに気づかされた。
自分にとっては、新作だった。そして、初めての大作だった。
どの演目にも初見はある。自分のランクなら、オペラ座の怪人、キャッツ、クレイジーフォーユー、レミゼラブル、以下、JCS,ACL、AOL、LK。。。それなりだったはずだ。しかし、これほど、旧知の新作はなかった。逆にいえば、ここのところ、ミュージカルに画期的な新作などなかったのかもしれない。
そんな、初見の昨年の観劇から約1年半。同様のキャストでエビータが秋劇場で再演された。
秋劇場ではエビータが開幕。春劇場は5000回を迎えたばかりのライオンキング。
(以下、さらに長文&ネタばれ注意)
この作品、自分には感動するシーンが2つある。1幕の最後と、2幕の最後。。。おいおい(^^;
いや、ありきたりだがそうなのだ。
1幕の最後は「ニューアルゼンチーナ」。大統領選挙で、民衆に呼びかけ、鼓舞し、おおきなうねりを作り出す。エビータが天下をとる大事なシーン。民衆は叫び、歌い、足を踏み鳴らす。1階席にいれば、地響きがする。腹に響くビートにまさに、血がたぎる思いがする。思わず熱くなる。
そして、ラスト。エビータが死に向かう長いシーン。限りなき野心の道半ばで思いを残して死んでいく、エヴァが「レクイエム」の曲に乗せ、思いを訴える。死にたくない、残念だ。そんな思いが伝わってくる。鬼気迫る演技。無念さが。ひしひしと伝わってくる。はじめ床をはいつくばって命の名残を歌っているが、やがて、時が来て立ち上がり、歌も別離に変わる。天井からはスポットライトに照らされ、赤い花ビラがひらひらと舞い、床に積みあがっていく。その中を死の世界に歩き去るエヴァ。「虹の如く」のリフレインが後を追う。『なお、彼女らしく残さなければ...』。そして、静かにナレーションがはいる。『エビータの墓の建立のために寄付金が集められたが、台座が作られたのみで、その遺骸は17年にわたって、行方さえ知れなかった。』(エビータより引用)
重い余韻を残すラストである。一連のラストシーンの間、その感動は静かに重く、深く浸透する。涙が湧き出てくるが、溢れることなく、涙腺から鼻に抜け、ひたすら水のようなハナが出続ける。そんなラストである。
その余韻を持ち帰りたい気分だが、カーテンコールでそれはリセットされる。カーテンコールは常に必要か?余韻を持ち帰りたい気持ち半分、賞賛をおくりたい気持ち半分。答えはむずかしい。
昨年の初見時と、メインのキャストは変更がない。
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井上エビータ:昨年は初のタイトルロールでいかがなものかと思ったが、予想外の好演だった井上智恵。「チエビータが降りてくる」とアルプで語っていたように、あきらかに憑いていた。2回目だからか、観客のノリの問題か、今回は前回ほどには役に入ってないように見えた。前回はカサロサーダの宮殿で「共にいてアルゼンチーナ」を熱唱しながら感極まって涙し、次の「空を行く」の場面で涙をぬぐっていたほどだったが、今回はそれはみられず、比較的あっさりに見えた。しかし、ラストの演技は相変わらず迫真に迫り、自分に静かに重い感動を与えてくれた。
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芝チェ:もう、はまり役だろう。ちょっと汚れてシニカルな狂言回し。アクが強く、歌えば大迫力のシャウト。自分なぞは完全に芝清道に刷り込まれてしまっているので、次の役者はさぞや大変だろうと思う。
コメント遅くなってしまいました。
御訪問どうも有難うございました(^-^)。
鹿鳴館、原作読まれたんですね。
私は読もう読もうと思いつつまだなんですよ(´‐`;)。
「エビ-タ」観にいかれたんですね。うらやましいです。
音楽も全部大好きです。舞台は生もの観るしかない!!
ですね!本当にっ!!
by mimi (2006-08-15 00:11)