登場!石丸ラウル [観劇の記録]
あれは、クリスティーヌ♪ ブラーバ!!
オペラ座のボックス席にその人は現れた。幼なじみとの思わぬ再会に興奮し、大声をあげ拍手をする人騒がせな金持ちのボンボン。ラウル・シャヌイ子爵。
演じるは、劇団四季の看板俳優、石丸幹二。彼の久々の登場で、「オペラ座の怪人」のチケットは激しい争奪戦となった。オークションで値がつきはじめるし、前日予約は20分後には見切れのR席含めて完売した。うちは、連れのゴールドフィンガーがうなり、なんとか前日予約でVIP席の一角を手に入れた。
劇団四季には、スターがいない。演出家浅利慶太の方針で、だれが演じても均一に見られる質の高い集団を売りにしたいからだ。その点、宝塚や東宝と方針が180度ちがっている。TVに出して俳優の顔を売るようなこともしない。唯一の例外がこの人、石丸幹二である。何年も前になるが、「違いのわかる男」として、CMに出演した。当時彼は劇団内で「ダバダ」と呼ばれたらしい。それ以来、多少なりとも一般に知られる人となった。
彼のラウルとしての登場は、海劇場でファントム開幕の頃に一月程出演して以来のこととなる。自分たちの足がこの演目から遠のいていたのも、そのことが原因だったかもしれない。
遠のいていたが、自分の中でこの演目はベストミュージカルだ。世界でもっとも劇的なミュージカルだと思っている。久しぶりにみる大作を見る時、懐かしさも手伝ってか、オーバーチュアからジーンとくる。オークションで猿のぬいぐるみがオルゴールのマスカレードを奏でると、すでにウルウル来ていて、パイプオルガンのテーマ曲と共にシャンデリアが頭上を舞うと背筋に電気が走る。プロセニアン・アーチから覆いがヒラリとはずれ、舞台の複数の内幕が順に開くにつれ、オペラ座のタイムスリップに吸い込まれていく。そして、ラウル大興奮の中、クリスティーヌがThink of me を唄い終わった頃は、涙して拍手を送ってしまっている。
素晴らしい物語だが、演者によって物語の解釈まで変わってしまうコワイ演目でもある。それだけ、深い作品ともいえる。テーマはファントム:クリスティーヌ:ラウルの三角関係。演じ方でこの3角形が変わる。石丸ラウルはその容姿からすでに貴公子であり、同時に演技の細かさでボンボンのヘタレさも巧妙に演じきる。all I ask of you でクリスと演じるラブシーンは誰もかなわない熱い恋をアピールする。
高木クリスは自分の思うクリスティーヌ像にきわめて近い。自分が求める物語では、クリスはファントムに心を奪われていなければならない。ファザコンの彼女は死んだ父が送ってくれた音楽の天使に心をささげ、支配され、そして恋をしなければいけない。そして、守ってあげたくなるようなか弱さと可憐さが必要だ。その点、映画のクリスティーヌは典型であり、逆に多くの四季のクリスティーヌは自立して強く、単なる性悪女にしか見えない。今日のクリスティーヌは可憐でファントムの虜になっていた。おしむらくはもっと畏れが欲しかったが。。。
そして、高井ファントムは素晴らしい。その歌の表現力は圧倒的だ。声量とか声質とかの問題ではない。歌で演じること、歌の説得力が圧倒的である。クリスティーヌを支配する威厳を彼はきっちりと表現する。そのファントムは絶品だ。
きっちりとそれぞれの役どころを演じ、それぞれのベクトルが大きい、大きな正三角形が今日の舞台にはあった。
すばらしかった。
ども~AYAです。
こちらにお邪魔しに来ました。
石丸ラウル、やはり観ておられましたか。
私も観に行きたいのに出費がかさんで行けずです。
感想読んでたら観に行きたくなってしまって大変!(笑)
ところで、イラストはどちらがお描きに?
すごく上手いですね!
by AYA (2006-01-11 02:18)
AYAさん:
いらっしゃいまし。イラストは私こと旦那の方が(^^)v
前日予約をGetしたのは、ぴんさんのGoldフィンガーです。丸ちゃんまだ出てるみたいですね。生ものだから、早いうち食べないと(笑)
キャッツ1周年でお会いした以来ですね。四季もたまには観ましょうよ。
by かるきん (2006-01-11 13:22)