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小樽⑧:出抜小路のひととき [国内旅行記:北海道]

ルタオの前で、慣れない雪に思いっきりすっころび、静かに様子をみるうちに、刻々と夕食の予約の時間が迫ってきた。脳内出血で明日の朝に亡き人となっている自分もイメージしながら、牡蠣を求めてふたたびつるつるの雪道を歩き始めるのであった。

夕食は牡蠣専門店。出抜小路には小さな出会いが...

歩き始めたとき、すでに時計は予約の17:00だった。あわてて携帯で連絡を。「雪でなかなか進めないので、10分ほど遅れます」。だが、実際は20分ほど遅れて出抜小路に到着。

小樽:出抜小路


出抜小路はたぶん今年にできた新しい屋台風の小店街。狭い路地、ぼろっちい店構え。しかし、よく見るとこぎれいなことに気づく。小樽の風情にあった、ひなびた雰囲気が演出されている。なかなかよい。

お目当てはここの牡蠣専門店「おいーっす開」。わずか7席の小さい店は厚岸産の牡蠣をオールシーズンで食べられ、さらにその時期毎の北海道各地の牡蠣を出すお店。札幌在住のぱらだいすさんのお勧めだ。牡蠣料理がものすごくおいしいのと、この小さな店ゆえの客同士のふれあいなどある、味のある店だった。

おいーっす開


遅れて着いた店内には夫婦の先客が一組。前日は夕食時、はいれない客が続出の大賑わいだったとのことだが、今日は入りがすくなくて一安心。着いたそばからメニューを物色すると、そこには焼き牡蠣、牡蠣黄金焼き、牡蠣酒蒸し、牡蠣グラタン、牡蠣ステーキ、牡蠣土手鍋、牡蠣雑炊と牡蠣、牡蠣、牡蠣のオンパレード。さらに、「メニューにないですが、生牡蠣もありますから!」と主人。気持ちは高ぶる。よっしゃ!片っ端から喰うべ!
すいません。ビール2つと、生牡蠣、焼き牡蠣、酒蒸し!
「お客さん、なにかをご覧になってここに?」「ええ....」

知り合いに紹介してもらって...

勝手に紹介ってことにしてしまいました。ぱらだいすさん、すいませんm(__)m
しかし、そのことが思わぬことに。。。

生牡蠣


生牡蠣。「せっかく紹介で来ていただきましたから、サービスです」!?1個多い。「あ、ども」。喰ってみると、うんめぇ~。。



焼き牡蠣


焼き牡蠣。「紹介で予約してもらったから、サービスです」!?また1個多い。またまた、うんめぇ~。。。





酒蒸しも来た。2個多かった。グラタンも追加。うまい、うまい、うまい。もう、撮るの忘れていた。

牡蠣のステーキ


ステーキを頼んだ。


うんめぇ~。。

牡蠣の土手鍋


土手鍋!!


うんめぇ~!!八丁味噌か?


雑炊頼もかな?「土手鍋で雑炊つくりますよ」。え?!
さんざん喰った後なのに、なんと旨いことか。。。門司で食ったふぐもそうだったが、エキスの出た鍋で作った雑炊はもう筆舌に尽くしがたい。

いやぁ。自分は牡蠣がかなり好きだったんだな。と、しみじみ。

確かに牡蠣が旨かった。でも、ここはそれだけではなかった。わずか7席の小さな店。自然に交わす主人とのやりとり。そして、いつかもう一組の客とも会話が始まる。「どちらから?」「東京、っていうか神奈川から。。。」「ああ。。」みたいなところから始まるのだが。。。

たぶん50歳台の夫婦のようだが、地元小樽の人らしい。 「地元なのにここは初めてだよぉ。昨日は来たけど一杯だったから、大仁門(焼肉)行ったよ」 札幌に勤めて、全国に出張する。東京にもよく行く。地元では観光客の行くところはあまりいかない。いい店というか、馴染みの店があって、だから人を連れてくるとみんなびっくりする。お通しでズワイガニまるごと一杯だもん。とにかく、ひとしきり時間ができるし都合がいいらしいんだ。場所?花園のガード下(ああ、一心太助の)。。。昨日今日雪降ったけど、こっちも全然降ってなかったよ。東京だとこんな雪ふったら大変だよね。あ、雪で転んじゃった。道路は雪とかしてるんだけど、それが凍結したら余計すべるね。車が踏み固めるしね。地元の人間だって転ぶときは転ぶよ。小樽のタクシーは4駆じゃないから、(でも、それで運転しちゃうくらい慣れてるんだよね?)坂の途中で動けなかったりするんだよね。小樽は坂ばっかりだから。はっはっは。。。

なんて話を和気藹々とする。それが自然に成り立つこの空間。牡蠣もうまかった。でも、このひとときはそれ以上に心に残る。

東京のガード下や、屋台でも同じようなことは起こるかもしれない。でも、小樽という地、そこを訪れる気持ち。それに一番応えているのは、ここでのこのひとときだったような気がする。

その後、この夫婦は二人の子供と連絡をとり、ついには家族4人で屋台で一杯の状態となった。となりのたこ焼き屋で買ったたこ焼きをひたすら喰う小僧。おい、持ち込みだろう?ってそんなことはどっちでもいいこの場。渋谷にはいないだろうが、気持ち生意気な中学生のおねえちゃん。酒飲むわけもないのにここに集う家族。

名も知らぬまま、家族は店から去っていった。お父さんには「ボトル頼んじゃったから」って2杯も焼酎をご馳走になったし。

得したとかではなく、なんだかとてもいい思い出をもらった気がする。

こうして、小樽最後の夜は終った。出抜小路のひととき。一番の思い出をもらったように思う。

おいしい牡蠣はスライドショーで!:おいーっす開


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コメント 2

bigtree24

凄く嬉しかったです!小樽の店長でした。今はお店ありませんが・・・。札幌に居ますので是非!!
by bigtree24 (2007-03-14 02:34) 

かるきん

>bigtree24さん

こんばんは。あの時の店長さんですか@@!感激です!
本当にすばらしいひと時でした。

その後、1年3ヶ月ぶりに旅行で小樽に行って、閉店を知って、とても残念です。

今度は札幌で「開」に行ってみようと思います。
by かるきん (2007-03-14 22:31) 

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